プレジャーボートだけが悪いのではない

1997年11月号 海の法規と知識 第30回
「至上課題(環境破壊)」より一部抜粋

中山隆一郎 著

 

 排泄物の船外排出、ビルジの排出などについて、いささか感情的に申し上げてしまったが、これらはプレジャーボートのユーザーよりもむしろ官庁船や作業船などの職業船に対して理解して頂かないといけないものではないだろうか。
理由は、単にプレジャーボートと比較して官庁船を含む一般職業船の占める割合が圧倒的に多いことと、加えて日々の稼動が非常に多いことである。
これら職業船と比べれば、プレジャーボートの種類に属する船からの排出など、小型船舶全体からみて非常に微々たるものだ。なのに、プレジャーボートは海洋汚染の根源まがいの扱いを受け、徹底的に叩こうとする活字媒体の記事を時折目にすることがあるが、それを私はスケープゴートくらいにしか思っていない。
ならば、何故プレジャーボートはスケープゴートにならなければならないのか、というお決まりの質問にお答えしよう。

 プレジャーボートならば、いくら叩いても反論する者がいない。
だれかを悪者に仕立て上げることによって問題を未解決のまま解決させようとする浮き世の習いに沿っているだけのことだ。

 

- 省略 -

 

 プレジャーボートは世間の認識からみて被害者でなければ加害者でもない。ただ一つ云えることは、環境破壊という罪に対する加害者は人類であるということだけで、具体的に誰それに原因があるなどの小さな話しはどうでもいい。

 できることから始めたい。

 油成分の混ざったビルジや汚物の処理は急務だ。これらを容易に陸揚げするための方法を模索し、陸揚げするのが当然となる日が訪れるのを待ち望んでいる。そのことを特に行政やボートメーカーに対して強く訴えたい。
 職業船はどうしても環境保全よりも目先の数値に捕われてしまう。それはしようのないことだ。ならば、せめてプレジャーボートが率先して手本を見せたい。

 念のため付け加えさせて頂くと、油成分の混ざったビルジや汚物の陸揚げ処理は、水を綺麗にするためのものではなく、より一層の水質悪化を抑制するための最低限の措置に過ぎないのだ。

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